刃物工具づくり
大切な6つの要素
 
刃物工具づくりには6つの要素がうまく組み合わされています。
@用途にマッチした良い鋼を使うこと
A思い通りの形にすること
B熱処理で硬く丈夫にすること
C鋭い刃先を形成すること
D表面に特殊機能を付加させること、最後は機能を形にするデザインについて考えることです。
まず1番目は素材(はがね)です。

刃物工具の材料は炭素工具鋼から合金工具鋼、ステンレス鋼、高速度工具鋼、
ばね鋼、ベアリング鋼といった特殊用途鋼など、鉄をベースにした鋼が主に用い
られています、そして、素材の形は板材をはじめ棒材、コイル材、クラッド材、火
造り材、それに超硬などの粉末冶金材です。

伝統工芸品の鎌や包丁はクラッド材が多く、鑿、鉋、小刀は鉄と鋼を火造りして
貼り合わせる工法で作られています。

刃先の成形性、耐摩性、さらに耐熱性を高めるために、これらの材料を単体で
或いは組み合わせて、用途にマッチした刃物工具がつくられています。

より詳しくは、DVDに収録   (大切な6つの要素編:映像・音声入り)
4番目は研磨です。

研磨は砥粒によって表面を削り取る加工法です。研削も同じです。通常は砥石に
よる加工方法をいいます。

研磨の最大の目的は鋭い刃先を形成することにあります。シャープな鋭い刃先
ほど切れ味を高めるからです。

研磨によって表面は滑らかになり、見た目も綺麗になり摩擦や摩耗、銹にも抵抗
を示します。よって、研磨は丁寧に行うことが大切です。

研磨砥石の材料は天然石からアルミナ、ダイヤモンド、ボラゾン、さらには皮など
沢山の種類があり、それぞれに使い分けて刃物工具の刃先を仕上げていきます。
思い通りの形にする

特殊機能を付加する

2番目は成形です。

刃物工具の形を作る方法は、大きく分けると4つに分類されます。
先ずは、プレス加工による打ち抜き加工です。量産向きの加工方法です。
最近ではプレスに代わりレーザー加工機も多く取り入れられています。

より強度を高めるためにはハンマーでたたく鍛造を利用します。

また、軸物などは切削加工が適用されます。

さらに、チップソーなどは刃先に超硬チップなどをロウ付けします。
6番目の要素はデザインです。機能を形にすることです。

それぞれの道具には、それぞれの働きや持ち味があります。

人が道具を使ってみて体に優しく感じることができれば使い手は大きな
満足感が得られます。

作り手は、このような道具づくりを目指して、それぞれのデザインを考え
て見たいものです。
5番目の要素は表面処理です。

表面処理は、表面に異質な物質をくっつける方法と、表面の金属組織に働き
かける方法に分かれます。

めっきやフッ素樹脂コーティングなどは前者で、浸炭や窒化といった処理は
後者になります。

いずれの場合も表面処理の狙いは品物の表面の機能をさらに向上させる点
にあります。

熱や摩耗、銹に対して強く、また異物の付着を防止する機能を与えます。
さらに、硬さを高めて摩擦や摩耗に対して強くします。
3番目は熱処理です。

刃物や工具にとって熱処理はとても重要です。刃物の形を作っただけでは
柔らかいままで、使い物にならないからです。

熱処理は、刃物や工具を硬く強靱にする目的で行われます。焼入れです。
焼入れには様々な方法があり、要求される性能、形状、コストの面を考えな
がら最適な方法を選択します。

熱処理は赤めて冷やす単純な作業ですが、刃物工具の性能の全てがここで
決まってしまうといっていい程の、大きな意味を持っています。

熱処理は”基本に忠実”に行う、これがとても大切です。



硬く丈夫にする
良い鋼を使う





機能を形にする
鋭い刃先を形成する