刃物や工具の多くは、付けと全鋼という二つの呼び方
が使われています。

全鋼(ぜんこう)とはSK85などの工具鋼の板材をプレス
機械などを用いて打ち抜き、形にした刃物をいいます。

一方、付け(つけ)とは
左図のように柔らかい地鉄の上に硬くなる鋼を接合した
刃物をいいます。

付けは、硬さと刃先のシャープさが要求される刃物に
適しています。
刃物工具に使われる材料
刃物や工具は相手を壊す働きをしますから、十分な硬さとねばさが必要です。
十分な硬さを得るには、”焼き入れ”という熱処理を行うことが不可欠です。
そこで、刃物工具には工具鋼という焼きが十分に入る鋼(はがね)が用いられています。
包丁や鎌、鑿、鉋、小刀などの刃物は鉄に鋼を接合
する方法で作られています。

刃先の硬さと鋭さ、そして全体の強さを得るに理想的
な工法といえます。

赤めた鉄の上に鋼をおき、ハンマーで強く叩くと、鉄と
鋼は完全にくっつき一体化します。

鉄を赤め、鋼と地鉄をくっつける技法は”鍛接”と呼ば
れ、古くから今日に受け継がれています。

刃物が伝統工芸と呼ばれる所以は、この古くから受け
継がれてきたこの工法によって作られているからです。
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工具鋼の呼び名は0.6%以上の炭素が含まれている鋼につけられています。

炭素鋼と工具鋼の呼び名の区別は0.6%の炭素量を境にしているのです。

この工具鋼は焼き入れという熱処理を行うことで、極めて硬くなり、刃物工具にとって欠かすことができません。

工具鋼には、耐摩性、耐熱性、耐銹性などの性質を持たせるため、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、V(バナジウム)などの合金元素を含んだ様々な種類の鋼が作られています。